こんにちは。「シニアの蔵」運営者のtmです。
「若い人より動くのが遅くなった気がする」
「電子カルテや新しい機器を覚えるのに時間がかかる」
「ベテランなのに、こんなことも分からないと思われていないだろうか」
そんなことが重なると、ふと「60代の看護師って、もう使えないと思われているのかな」と考えてしまうことがあります。
自分ではまだ働けると思っていても、本当に気になるのは、「一緒に働く若い看護師から、自分はどう見えているんだろう」ということかもしれません。
実際に看護師向けのコミュニティを見ていくと、年上の看護師を「頼りになる」「心強い」と見る声がある一方で、「最初は馴染みにくかった」「今の業務について相談できるか不安」「年上なので指摘しづらい」と感じるケースもあります。
つまり、「60代だから使えない」と簡単に結論を出せる問題ではありません。
では、若い看護師は実際にどこを見ているのでしょうか。まずは、一緒に働く側の声から考えてみます。
60代看護師は本当に使えない?若い看護師の実際の声

最初に大切なことがあります。
ここで紹介するのは、看護師向けコミュニティや掲示板に投稿された個人の体験や意見です。若い看護師全体を代表する調査ではありません。
ただ、「若い人からどう思われているのか分からない」という不安に対して、実際に年上の看護師と働いた人が何を感じているのかを見る材料にはなります。
「ベテランがいると心強い」という若い看護師もいる
まず確認できるのは、年上の看護師をむしろ頼りにしている声です。
看護師向けコミュニティ「カンゴトーク」では、新人看護師が、自分より20歳ほど年上のプリセプターについて、
「ベテランさんと一緒に働いて心強いし、パートナーになるととても嬉しい」
と投稿しています。
年齢が離れていても相談しづらさは感じておらず、経験のある看護師と一緒に勤務することを安心材料として受け止めています。
また、看護roo!のお悩み掲示板には、40〜60代のスタッフが中心の職場で働く20代後半の看護師から、
「年齢差のある同僚ばかりですが、裏を返せば頼れるスタッフばかりです」
という声もあります。
つまり、若い看護師だからといって、年上の看護師を一律に「一緒に働きにくい」と見ているわけではありません。
経験があり、困ったときに相談できることそのものを強みとして見ている若い看護師もいます。
一方で「最初は馴染みにくかった」という声もある
もちろん、良い声ばかりではありません。
20代のころに50〜60代が多い職場で働いた看護師からは、
「正直、最初は結構馴染むのが難しかったです」
という声がありました。
年上のスタッフから積極的に話しかけられることが少なく、最初は居心地の悪さを感じたものの、仕事や休憩中の会話を重ねるうちに徐々に関係ができていったと振り返っています。
ここで問題になっているのは、年上の看護師の能力そのものではありません。
年齢差が大きいことで、若い側が「こんなことを聞いていいのかな」「話しかけても大丈夫かな」と遠慮してしまうことがあるということです。
60代側には壁を作っているつもりがなくても、若いスタッフからは距離を感じられる場合があります。
同じ50〜60代でも「頼れる人」と「相談するのが不安な人」に分かれる声もある
さらに興味深いのが、同じ50〜60代でも受け止め方が違うという声です。
カンゴトークでは、50〜60代の看護師について、長く看護現場を離れていたり、現在の治療現場での経験が少なかったりすると、業務について相談するときに不安を感じるという趣旨の投稿があります。
ところが同じ投稿者は、現在もしっかり看護業務を続けている50〜60代については、何かあったときに相談でき、ケアや患者さんとのコミュニケーションについても学べるため、「大変心強い」と評価しています。
これは、「60代看護師は使えないのか」を考えるうえで、とても重要なところです。
若い側から見ても、「何歳なのか」と「今の仕事で頼れるか」は同じではありません。
何十年の経験があることだけではなく、今の職場で行われている看護や仕事の流れを理解しているかも、一緒に働く側にとっては大切なのだと考えられます。
「年上だから指摘しにくい」という問題もある
年齢そのものが、別の形で仕事のしづらさにつながることもあります。
カンゴトークには、看護師3年目で介護施設の責任者を務める人から、自分よりかなり年上の派遣看護師が、確認や相談をせず自己判断で業務を進めることに困っているという投稿があります。
往診や薬局への連絡などが事後報告になり、事故につながらないか不安を感じているという内容です。
ここで若い側が困っているのは、相手が年上だから仕事ができない、という話ではありません。
その職場のやり方を確認せず進めてしまうことと、相手がかなり年上であるため指摘しづらいことが重なっているのです。
長年の看護経験は大きな強みです。
ただ、新しい職場へ行けば、自分より若い看護師の方が、その職場の機器やルール、仕事の流れをよく知っていることもあります。
そのときに以前の経験だけで判断してしまえば、若い側は「言いにくいけれど、このまま任せるのも怖い」と感じることがあります。
反対に、「この職場ではどうやるの?」と年下の同僚にも確認できる人なら、同じ60代でも周囲からの見え方は変わってくるでしょう。

若い看護師の声から見えるのは「60代だから」ではない
ここまで実際の声を見てみると、少し見え方が変わってきます。
若い看護師が年上の看護師について気にしているのは、単純に、
「60代だから仕事が遅い」
「年を取っているから使えない」
ということではありません。
- 困ったときに相談できるか
- 今の職場のやり方にも合わせてくれるか
- 分からないことを確認してくれるか
- 年下からの意見や指摘も聞いてくれるか
- 年齢が離れていても話しかけやすいか
こうした部分についての声が見られます。
そして反対に、経験があり、相談しやすく、今の仕事にも向き合っているベテラン看護師を「頼りになる」「心強い」と感じている若い看護師もいます。
ですから、「若い人より動くのが遅くなった」「新しい機器を覚えるのに少し時間がかかる」というだけで、若いスタッフ全員から「使えない」と思われていると決めつける必要はありません。
ただし、「年齢は関係ないのだから何も気にしなくていい」という話でもありません。
もし自分自身が最近うまく働けていないと感じているなら、次に考えたいのは、なぜそう感じるようになったのかです。
では、なぜ自分は「使えない」と感じているのか
「使えない」という一言の中には、いくつもの問題が混ざっている可能性があります。
| 感じていること | 背景にあるかもしれないこと |
|---|---|
| 夜勤のあと、以前より疲れが残る | 体力や回復力の変化、勤務時間の長さ |
| 若い人より仕事が遅い気がする | 職場で求められるスピードや業務量 |
| 電子カルテや新しい機器が苦手 | 仕事の仕組みそのものの変化 |
| ベテランなのに質問しづらい | 周囲から期待される役割、自分自身の遠慮 |
| 以前より自信がなくなった | 小さな失敗の積み重ね、職場との相性、人間関係 |

この中には年齢が関係していることもあれば、そうではないこともあります。
体力の変化が影響しているかもしれない
夜勤や長時間勤務のあとに疲れが残りやすくなるなど、以前とは違うと感じる部分はあるかもしれません。
その変化を無理に否定する必要はありません。
ただ、身体への負担が大きい仕事がつらくなったことと、看護師としてできる仕事がなくなったことは別です。
今の職場で求められるスピードが合わなくなっているかもしれない
同じ看護師でも、職場によって一日の仕事はかなり違います。
次々と患者さんへ対応し、短時間で多くの判断や処置を求められる職場もあります。
そこで以前のように動けなくなったとしても、それだけで看護師としての能力すべてを判断することはできません。
今の職場で求められる働き方が、今の自分に合わなくなっている可能性もあります。
仕事のやり方そのものが変わっているかもしれない
電子カルテ、医療機器、院内システム、業務手順など、長く働いていれば仕事の方も変化します。
以前にはなかったものへ対応するのに時間がかかっているからといって、それまで積み重ねてきた看護経験までなくなったわけではありません。
「ベテランだからできて当然」が苦しくなっているかもしれない
経験年数が長いほど、「分からない」と言いにくくなる場合があります。
若いスタッフに聞けば済むことでも、「そんなことも知らないの?」と思われるのが怖くて聞けない。
そうすると確認する機会が減り、さらに仕事に自信をなくすこともあります。
能力だけではなく、ベテランとしての立場そのものが、仕事のしづらさにつながっていることも考えられます。
原因が分かっても、今の働き方を簡単には変えられない
ここまで読んで、
「それなら夜勤を減らせばいい」
「勤務時間を短くすればいい」
「もっと若い人に質問すればいい」
と思うかもしれません。
でも、それが簡単にできるなら、そもそもここまで悩んでいない人も多いでしょう。
人手不足で夜勤を外してもらえないかもしれません。
勤務日数を減らせば、収入が下がって生活に影響するかもしれません。
仕事内容が合わないと感じても、希望する部署へ異動できるとは限りません。
若いスタッフへもっと聞いた方がいいと分かっていても、長年ベテランとして働いてきた立場から、急に関係を変えるのは難しいこともあります。
「どうすれば少し楽になるか」は分かっている。でも、それを選べない事情がある。
そこが、この問題の難しいところです。
それでも、看護師の働く場所は今の職場だけではない
すぐに今の環境を変えられなくても、知っておいてほしいことがあります。
看護師の資格を生かせる場所や働き方は一つではありません。

病院だけでなく、クリニック、介護施設、訪問看護などがあります。常勤だけでなく、パートや短い勤務という働き方もあります。
働く場所が変われば、勤務時間だけでなく、仕事のスピード、身体への負担、求められる役割、これまでの経験の生かし方も変わります。
もちろん、「クリニックなら楽」「介護施設なら60代に向いている」と一律には言えません。
クリニックでも忙しい職場はありますし、介護施設でも少人数で判断を求められたり、オンコールがあったりします。
大切なのは、「どこが楽か」ではなく、「どんな働き方なら今の自分が続けやすいか」という視点です。
実際に「病院ではつらかった働き方」を変えた看護師もいる
ここで、日本看護協会が紹介している実例を一つ見てみます。

「プラチナナース活躍促進サポートBOOK」には、県立病院で約30年間勤務した後、53歳で社会福祉法人へ転職した看護師の事例が掲載されています。
病院勤務では16時間夜勤や長時間労働が身体の負担になり、その後、介護老人福祉施設で働く道を選びました。
そこで、それまでの病院経験が不要になったわけではありません。
認知症の利用者さんの症状を見たり、どの時点で医療につなげるかを判断したりする場面で、県立病院でさまざまな部署を経験してきたことが役立っていると紹介されています。
60歳の時点では、地域密着型介護老人福祉施設で副施設長兼看護師長として勤務していました。
本人は、介護施設では夜勤がなく、自分がやりたい看護を実践できているという趣旨の話もしています。
この事例から分かるのは、
「今までと同じ場所で、同じように働くことがつらくなった」ことが、「看護師としての経験が使えなくなった」ことを意味するわけではないということです。
環境が変われば、同じ経験でも価値の出方が変わります。
同じ日本看護協会の資料には、68歳で訪問看護などを週3日、週20時間以内のペースで続けている看護師の事例も掲載されています。
「何歳までフルタイムで働けるか」だけで考えるのではなく、仕事量や働く場所を変えながら看護師を続ける方法もあることが分かります。
勤務時間だけでなく「実際の条件」で比べてみる
「働く時間を減らしたい。でも収入まで大きく減るのは困る」
これは、働き方を変えたくても動けない大きな理由の一つでしょう。
勤務時間を減らせば、収入が減る可能性はあります。
ただし、職場が変われば基本給や時給、夜勤手当、賞与などの条件も変わります。
そのため、「今より何時間短く働けるか」だけでなく、「その条件で実際にどのくらいの収入になるのか」を比べることが大切です。
候補となる職場を見るときは、少なくとも次の条件を並べてみましょう。
- 実際の勤務日数と勤務時間
- 月給または時給
- 夜勤など各種手当の有無
- 賞与や社会保険の条件
- 残業の有無
- 通勤にかかる時間や費用
職場によって条件は違うため、勤務時間だけを見て収入差を判断することはできません。
夜勤をなくしたことで収入が大きく変わる場合もあれば、候補となる職場では基本給や時給そのものが違うこともあります。
「時間を減らしたら生活できない」と最初から決めるのではなく、今の収入と候補となる求人条件を、実際の数字で比べてみることが必要です。
日本看護協会では、現在の働き方や処遇をもとに、所定労働時間の短縮・延長や夜勤回数を変えた場合の処遇の変化を確認できる「わたしの働き方シミュレーター」も公開しています。
それでも職場を変えるのが怖いのは、失うものがあるから
「ほかにも働き方がある」と分かっても、すぐに転職できるわけではありません。
今の職場には、つらいことだけではなく、長い時間をかけて積み重ねてきたものもあります。
- 慣れた仕事の進め方
- 長く付き合ってきた同僚との関係
- 現在の給与や手当
- 通い慣れた通勤経路
- 長年作ってきた生活のリズム
職場を変えれば、その一部を失う可能性があります。
しかも、新しい職場が今より良いという保証もありません。
「転職したのに、前の職場の方が良かったらどうしよう」
「新しい人間関係を一から作れるだろうか」
「今度こそ、本当に仕事についていけなかったらどうしよう」
こう考えれば、今の職場がつらくても動けないのは不思議ではありません。
職場を変えることで得られるものだけでなく、失うかもしれないものもある。
だから転職には怖さがあります。

だから「辞める前に、ほかの職場を確かめる」という方法もある
今の職場に残るか、転職するか。
この二つを、今すぐ決める必要はありません。
まず別の職場を見てみる。
そして可能であれば、実際に少し働いてみてから考える方法もあります。
求人票では勤務時間や給与は分かっても、実際の忙しさ、スタッフ同士の雰囲気、自分がその仕事をしたときにどのくらい疲れるかまでは分かりません。
こうしたときに使えるサービスの一つが、看護師向けのCURA(クーラ)です。
CURAでは、職場見学や1日のお試し勤務をしてから、その職場で続けて働くかを考えられます。最初から転職先を決めるのではなく、実際の職場を見たり、働いたりしてから判断できるのが特徴です。
しかも、見学やお試し勤務には報酬があります。公式案内では、職場見学は4,150円、お試し勤務は東京都の場合10,780円/回と案内されています。
「今の職場を辞めるほどではないけれど、ほかの働き方も少し見てみたい」と思った方は、現在どんな職場があるか確認してみてください。
CURAを使ったからといって、転職しなければならないわけではありません。
実際に見てみて、「思っていたより忙しい。やっぱり今の職場の方がいい」と感じるかもしれません。
それも一つの答えです。
反対に、「ここなら今までの経験を生かせそう」「この勤務時間なら続けられそう」と気づくこともあるかもしれません。
転職の不安を完全になくすことはできませんが、求人票だけで決めるより、実際の職場を確かめてから判断できることで、転職のリスクを小さくできる可能性があります。
お試し勤務がどんな仕組みなのか、単発バイトとは何が違うのかを先に知りたい方は、看護師のお試し勤務とは?転職前に職場を確かめる方法で詳しく解説しています。
また、病院・クリニック・介護施設などの違いや、常勤・パートなど60歳からの働き方そのものを整理したい方は、看護師の60歳からの働き方|常勤・パート・お試し勤務の選び方も参考にしてください。
この記事で参考にした主な情報
- 日本看護協会「プラチナナース活躍促進サポートBOOK」
- 日本看護協会「看護職の働き方改革」
- カンゴトーク|年上のプリセプターについての投稿
- 看護roo!|年齢差のある職場についての投稿
- カンゴトーク|50〜60代が多い職場についての投稿
- カンゴトーク|年上の派遣看護師への指導についての投稿
- CURA(クーラ)公式サイト
※看護師向けコミュニティの投稿は個人の体験・意見であり、特定の年代の看護師全体を代表するものではありません。また、CURAの報酬・求人・利用条件は変更される場合があるため、利用時は公式サイトの最新情報をご確認ください。
まとめ|「60代だから使えない」と決める前に、ほかの可能性も見てみる
若い看護師の実際の声を見ると、年上の看護師を「頼れる」「心強い」と感じる人がいる一方で、年齢差による話しかけにくさや、今の業務について相談できるか、年下から指摘しやすいかを気にしている人もいます。
「60代だから使えない」という単純な話ではありません。
体力の変化、仕事のスピード、新しい機器や手順、ベテランとしての立場、今の職場との相性など、いくつものことが重なって「以前のようにできない」と感じている可能性があります。
そして、その原因が分かっても、今の職場や生活の事情から簡単には変えられないこともあります。
だから、「我慢して今の職場を続ける」か「思い切って転職する」かの二択にする必要はありません。
今の職場でうまくいかないことと、看護師として働けないことは別の話です。
働く場所が変われば、これまでの経験の生かし方も変わります。
今の職場を辞める前に、ほかの職場を見てみる。
できれば実際に少し働いてみる。
その結果、「やっぱり今の職場がいい」と分かってもいいですし、「今の自分にはこちらの方が合っている」と気づくこともあるかもしれません。
「自分はもう使えない」と決める前に、今いる場所とは違う看護師の働き方もあることを、一度確かめてみてください。
